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さて シン・ゴジラですが

先ほど、レイトショーMX4Dにて、やっとこシン・ゴジラを観てまいりました。
ネタバレ上等で、ぼんやりとした感想を残しておくことにします。
なおこの映画「12年ぶりの国産ゴジラシリーズの最新作」以外に
事前に何も情報を入れずに観に行く方が、絶対に幸せになるので
未見の方はこれ、読まないで下さい。

映画を観るにあたって、前日深夜~早朝にかけて
・ゴジラ
・ラドン
・サンダ対ガイラ
・大魔神
とブルーレイマラソンをこなしてから挑んだわけですが
DSCF8903
ハッキリ言って、これらを観ても全く意味がなかったです。

観るべきは
・激動の昭和史沖縄決戦
・日本のいちばん長い日
・連合艦隊
あと
・十二人の怒れる男
だったかもしれません。
何故なのか?
このシン・ゴジラは
「特撮映画」ではありますが
「特撮怪獣映画」としての看板は偽りありで
「特撮戦争映画」だと思ったからです。

畳み掛けるテンポの早い怒涛のような会話劇がただただ続いてゆく。
緩急は、観客の疲れを見きったように良いタイミングで決め所に配置された
全てお見事計算づくねと、ニマニマしてしまう展開です。
観客はほぼ絶句のまま考える隙を与えらず画面に釘付けとなり
展開される情報の奔流に押し流されるように翻弄されるそんな映像体験。
これはつまり、東日本大震災から続く日本で、リアルタイムに体験し暮らしてきた人々の
深層に焼き付いた思い出の追体験に他ならないかなと、思わせられました。

成すすべなく、それでもなんとか事態が好転することを祈り
与えられた日常をただこなして過ぎ去っていった、多くの国民の思い出のトレース。
といえば、
大東亜の終戦後、復興の栄光に塗りつぶされつつあった
戦争の記憶を、娯楽として追体験することで、忘れずに思い出し考える機会となった
多くの映像作品、とりわけ「特撮」という技術に依って映像化されたモノと
非常に近いスタンスで作られたものではないでしょうか。

鑑賞後、私の脳裏に
「これを庵野が作るとはね」と言う考えが湧いてきて止まりません。
確かに一見いつもの庵野監督作品です。
あの「ゼネプロ版 帰ってきたウルトラマン」の延長線上に有るように見えます。
それでも「次代に何かを託す」という気持ちが垣間見える
「オトナとしての庵野秀明」が、そこには居るような気がしたのです。

そしてオトナとしての庵野秀明は
二度目の上陸でゴジラが破壊したもの(特に建築物)が
日本が再興するにあたって、無くなって欲しい物や組織や構造であると
暗に仄めかして観客に示すという、やらかしをかましてくれました。
非常に好感です(え?穿った見方しすぎですか?)

あと、圧巻だったのはエンドロール。
協賛企業の数がやたらに多いのと、何より驚くべきことは
競合する同業他社がどんどこ出てくるところです。
日テレ・テレ朝・TBS・テレ東・フジの在京キー局がズラッと並んだ邦画なんて
私の少ない映画鑑賞経験では、めったに観たことがなかったと思います。
それぐらい、ある意味でのリアルにこだわった作品と言えるのかもしれません。
だからこそ
個人的には「ゴジラ」という名前が決まるこの世界には
「ゴジラ」どころか「怪獣映画」も存在していないのかしら?という疑問がわきました。
そこを描く必要もなかったとは思いますが、
そのせいで…何故のこの世界の人達は
「空想の産物であり、娯楽として消費される怪獣」というものを完全にスルーしているのか?と、
そこが少しだけ気になってしまいました。

さて、散文的につらつらと感想を並べてまいりましたがシン・ゴジラ。
好きか嫌いかといえば「好き」な映画です
一番前で観た、ドアップの石原さとみの、微妙にひしゃげためくれ上がった唇は最高でした。
また彼女も含め、役者の皆さんの怪演好演最高でした、出ている役者さんをほぼ皆
良いわー好きだわーと思えることは、私にしては非常に珍しいと思います。

ゴジラ映画として好きかどうか、怪獣映画としてはどうか?と聞かれると
複雑な気持ちを抱えつつ、しばし考えた後に
「二次創作の同人フィルムとしては最高傑作ですね」と応えます。
是非これをベースに「伊藤和典」が仕上げた脚本をつかって
ディレクターズ・カット版としての「真・シン・ゴジラ」の制作をお待ち申し上げます。

なお、ブルーレイは躊躇なく買います。
特典映像に「巨神兵東京に現わる」も収録していただけるとニンマリ出来ますので
ご検討をよろしくお願いいたします。

そうそう、一部プロモーションで庵野監督作品だからの
エヴァとの関連性を匂わせたこともあるのでしょうが
ネットの感想にて「これは特撮じゃないエヴァ」だとの意見を多く見かけました。
エッセンスや要素の多くが昔からの特撮のフォーマットで構成されていると気付かずに
エヴァを「オリジナル」として受け入れている状態にあるのかもしれないのかもしれませんね。
結果的にですが、なんとも皮肉な入れ子構造ではあります。
とはいえこの映画を切欠として
若手に一人でも多く古きに触れる方が増えるならば、それもまた楽しでありますね。
庵野氏がここ数年掲げる「失われるしか無い過去の継承」が成就されますことを
オッサンの懐かしい邦画と特撮のファンとしては願わずにはおれません。

さらについでの折角の機会ですし
講談社さんは、何度目だ馬鹿野郎な「ゴジラ全映画DVDマガジン」とかやってないで
「週刊 庵野秀明がオススメする 特撮/アニメ/漫画/小説 作品集」を
DVD付きで刊行するべきなんじゃないのかなと思います。
ディアゴスティーニさんとかでも良いので、ぜひ実現していただきたい。
え?「監督不行届」がある?確かに…(笑)

しかし、シン・ゴジラ観て帰ってきて、
最初に参考に読み返してる本がコレって
自分でも意外でしたわ。

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まさかこんな映画だとは…。

「人間ドラマがないからダメ」って論調をよく見かけてあらら残念、と思ってしまったので追記

シンゴジラには人間ドラマが無いわけではなく
「先入観で期待しているようなカリカチュアライズされて理解り易く演出された人間ドラマ」
は見当たらなかっただけと思うんです。

日本人の最低限度普通の教養と感性を育んできた、多くいる市井の普通の人なら
たとえ「わかりやすい人間ドラマ」が目に見えなくとも
劇中、細かく差し込まれる印象的な演出の端々からから、それらに気づかなくとも
なんとも言えない印象が心に残るのでは無いでしょうか。

「登場キャラクタの心情」
「画面に映し出された細かい要素」
これらも巨大明朝テロップで全部表示したら伝わったのかもしれませんね。

つまりシンゴジラには「人間ドラマがない」と思ってしまう方を
少なからず創りだしたのは
「ワイプ」+「リアクション」+「テロップ」+「歓声演出」というテレビ文化なのかもしれません。

そういう炙りだしも仕掛けられてたり…?

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